イギリスといえば、どんなイメージがありますか?
最近では王室が世界をにぎわせていますが、、
演劇作品の巨匠シェイクスピアをはじめ、多くの芸術作品・文学作品が生まれた国イギリスを舞台をした物語は数多くあります。
そのなかでも、子どもから大人まで幅広い年齢層そして国境を越えて愛される物語として、『ハリーポッター』シリーズは特に人気。
実際に読んだことはなくても、その名前を知っている人がほとんどではないでしょうか。
今回は、この『ハリーポッター』シリーズが教えてくれるイギリス英語の世界をご紹介します!
イギリス英語を勉強したい方はもちろん、イギリス英語って何?って方にも、『ハリーポッター』を知るとイギリスとの距離が縮まりますよ。
イギリス英語を通して、イギリスの誇り高き伝統、そしてユニークな文化を体感してみませんか?
■ 目次
子どもも大人も楽しめる世界、『ハリーポッター』シリーズ
『ハリーポッター』シリーズは、1995年に当時無名だったイギリス人作家でありシングルマザーのJ.K.ローリングが書き上げた『ハリーポッターと賢者の石』を書き上げ、1997年で発売されたことから始まります。
1990年代のイギリスを舞台に、魔法使いの少年ハリー・ポッターを主人公に、魔法学校での生活や闇の魔法使いとの戦いを描いています。
「魔法使いの話ってなんだか子どものおとぎ話みたいで、好みじゃないなー」なんて思ったあなた!
79言語に翻訳され200カ国以上で発売され、なんと4億冊以上発行されている『ハリーポッター』の世界は児童文学の域を越えているんです。
どうしてシリーズ全8作が、ここまでの人気を得ているのか?
そこには、3つのタネが。
1. リアルな世界との接点が多い
2. 登場人物が親しみやすく身近に感じる
3. 現在のイギリスが物語の世界観に投影されている
『ハリーポッター』が生まれた街・エディンバラから走る電車が到着するロンドンの駅キングス・クロス駅こそが、魔法の世界への入り口があるという設定。
J.Kローリングがエディンバラからイギリスの首都、そして世界へ走り抜けていく、そんなイメージと重なってしまいます。
実際、キングス・クロス駅にはハリー・ポッターが魔法学校へ向かうシーンが再現されたオブジェがあり、人気観光スポットになっています。
魔法の世界というファンタジーでありながら、どこか親近感とリアルさを感じられる学園モノ、悪と闘う少年、というシンプルな設定が幅広い年齢層を楽しませているんですね。
物語としてもおもしろさ満載の『ハリーポッター』シリーズですが、英語学習にも魔法のアイテムとしてのパワーを発揮してくれるんです!
実際にどんな魔法が起きるのかを次にご紹介しますね。
『ハリーポッター』から学べるイギリス
イギリスを舞台とした映画やドラマの多くが中世を描いていますが、その多くがセットではなくロケで撮影されているんです!
私が住んでいるスコットランド・エディンバラは、『ハリーポッター』が執筆された街というだけあり、モデルになった場所も多く、街全体にハリーポッター感に包まれています。
歴史を感じさせるイギリスらしい建築以上に注目したいのがセリフ、つまり英語そのもの。
日本語に方言があるように、イギリスにも「アクセント」といわれる英語の特徴があります。
イギリスで話される英語のアクセントから読み取れる情報は2つ。
1. 地域
2. 階級
地域は、日本の方言と近く、わかりやすいのはスコットランドなまり(Scottish Accent)やウェールズなまり(WelshAccent)。
独特のイントネーションや発音の違いがあります。
『ハリーポッター』で注目したいのが、イギリスならではの階級と英語の関連性。
イギリスでは、いまでも明確な階級に対する意識があります。
残念ながら、階級差別が根強くある地域もあり、社会問題にもなっているんです。
『ハリーポッター』の世界では、次のような階級が登場します。
・上流階級(Upper Class)
・中流階級(Middle Class)
・下流階級(Lower Class / Working Class)
この階級は、主に職業によって分類されます。
両親の職業とその子どもの教育レベルがリンクし、話す言葉そのものにもリンクすると考えればイメージしやすいのではないでしょうか。
例えば、主人公のハリーのライバルの嫌な奴キャラ、ドラコ・マルフォイは、上流階級出身として描かれています。
ハリーの友人ロン・ウィーズリーのアクセントを、コックニーだとして下流(労働者)階級だと思っている方もいるようですが、彼のアクセントはとても興味深いんですよ。
ロンは、魔法族出身の上流階級出身という設定ですが、イギリス南東部にあるアクセントで新中間層と呼ばれる新しい階級から生まれたアクセントを話しています。
この南東部アクセントが、コックニーと呼ばれるロンドンの労働者階級(下流階級)で使われている音に似ていることから、ロンも下流階級?という誤解が生まれたんですね。
主人公ハリーは、生まれは上流階級ですが育ちが中流階級家庭ということで、階級という概念からはずれているということも、階級社会イギリスで幅広い層の人たちに愛される理由なのかもしれません。
そのハリーが話す英語は、RP(Received Pronunciation)と呼ばれる容認発音という、王族や国営放送BBCの発音です。
ハリーの英語こそが、The イギリス英語ということ。
では、イギリス英語にはどんな特徴があるのかをみてみましょう。
イギリス英語とアメリカ英語
イギリス英語とアメリカ英語には、さまざまな違いがありますが、大きくは2つ。
1. 発音
2. 単語・スペリング
それぞれについて例を見ながら確認してみましょう。
1. イギリス英語とアメリカ英語:発音
最もわかりやすい発音の違いがわかるのが「R」の音。
中学校で英語を学んだとき、「はい、舌をまいてー」なんてこと言われませんでしたか?
それ、イギリス英語には必要ありません!
日本語のカタカナで伸ばし棒「ー」で表現されるように、そのままいつもの感じでただ伸ばす。
日本では、「イギリス英語は聞き取れない」なんて声もよく耳にしますが、音としてはカタカナ英語に近いんです。
Posh(すましている)というアメリカ人もいますが、気品たっぷりのイギリス英語も魅力的。
特に、イギリス英語を話す男性は知的でセクシー!なんていう人もたくさんいるんです。
2. イギリス英語とアメリカ英語:単語・スペリング
有名どころでは、エレベーター。
イギリス英語:Lift
アメリカ英語:Elevator
イギリス在住の私の肌感覚ですが、ロンドンで「Elevator」と言っても通じます!
ただ、イギリスは特に話している言葉への意識が高いので、イギリスに行くなら是非イギリス英語の表現を使ってみてください。
もうひとつ誤解が起きやすいのが、階数の数え方。
1階・2階は、
イギリス英語:the ground floor・the first floor
アメリカ英語:the first floor・the second floor
つまり、イギリスでは2階が「ファースト(1番目の)」階。
デパートなどで回数を見るときは注意が必要ですね。
そしてスペリング。
簡単にいうと、イギリス英語はちょっと余計なものが入ってる感じでしょうか。
例えば、「色」。
イギリス英語:Colour
アメリカ英語:Color
「u」が入っているのがイギリス流。
ちなみに、『ハリーポッター』シリーズの第1作『ハリーポッターと賢者の石』は、イギリスで出版されたものと、アメリカで出版されたものではタイトルが違うんです。
イギリス:Harry Potter and the Philosopher’s Stone
アメリカ:Harry Potter and the Sorcerer’s Stone
イギリスでは、中世ヨーロッパの錬金術に関連した用語として理解される「Philosopher’s stone」という表現。
アメリカでは「Philosopher」は「哲学者」の意味合いが強く理解されないことから、「魔術師」という意味の「Sorcerer」に置き換えられています。
同じ英語なのに、発音や単語のもつ意味合い、そしてスペリングといろいろな違いがあります。
日本の学校教育ではアメリカ英語を基盤に指導されているので、この機会にイギリス英語のユニークさに注目してみてもおもしろいはず!
まとめ
魔法学校への入り口がある、ロンドンのキングス・クロス駅「9と4分の3番ホーム」。
まずは映画で『ハリーポッター』の世界を楽しんでから、英語学習そしてイギリス学習をかねて英語で読んでみてはいかがでしょうか。
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